思いつき(妄想)。

フィクション。
まがい物。
偽物。














コンサート会場、見渡したらいっぱい見える俺のウチワ、俺の名前。
「亮」の次に多い「忠義」。
キャーキャー言われる声も亮ちゃんとおんなじくらい大きい。
ちょっと前までみんなの後ろで踊ってただけの俺やのに。
「その他大勢」の「その他」でしか無かったんに。


そんでも。

浸透してない俺の名前。
コンサート会場でキャーキャー言われても名前いっぱい見ても、
世の中の人にはちっとも浸透してない「大倉忠義」。
すばる君や、横山君。
横山君のがみんな名前知ってる、あの子やろ?って、
関ジャニのおもろい子やろ?って、
ちゃんとキャラクターづいて認識されとる。

悔しい。
国営放送でのドラマの主演決まってちょっと怖じ気づいてた俺にハッパかける横山君に漏らした本音。
悔しいって。
俺の名前、全然知ってもらえてないって、
横山君のが上やん悔しいわって。
ちゃんと冗談めかして。

何言うてんねんって軽く笑う横山君。
あぁもうその余裕が嫌やわ。
まぁ悔しい思える内はええんちゃうかって煙草に火をつけて。

ふっ、ってちょっと笑った後。
「俺、でもドラマ現場とかでメイクさんとかADの女の人にめっちゃ言われんで、大倉君に会わせてーとか」
俺おんのにお前の名前て、紫煙吐き出しながら口の端上げて。

「そんなん言うたら俺かてこん前しつこくしつこく言われましたよ、横山君の番号教えて連絡先教えてて」
「ウソやん、可愛い?」
「ハゲたおっさん」
「うぉーいコラぁ!」
俺の胸らへん、ドンって軽く殴って煙草を灰皿に押し付けて。

一瞬、真剣な目。

「俺の名前ていど目指しとってもアカンぞ」

グループの上昇、個人の上昇。
望みは高く見えないくらい大きく。

分かっとるよ。

横山君。
また口半開きやで締まり無いなホンマ。


撮影してた他のメンバー戻ってきて一気にやかましくなった楽屋のはしっこ。
頑張ろう、
誰にも聞こえない何百回目か分からない決意。





20091006.