村上君と藤本っちゃん妄想(ログ)。

村上君と藤本アナの妄想文です。
女子と絡む(まさに絡む)メンバーがダメ、妄想がダメな方は見ないで下さい。


















最初にテレビ局で見かけた時から、
「タイプやな〜」って、ぼんやり気になっとって、
そんで、一緒の仕事。
レギュラーならしてもうて、あんたと一緒に進行してく仕事。
正直ラッキー思うたよ。これ切っ掛けで上手いこといかんかなーて。
二十歳そこそこん時って、男って大体年上の女に憧れんの。
えぇなーって。ヨコもすばるも年上と付き合っとったしな、多分その頃。
俺より4つ上。あ、年だけで言うたら5つ上んなるんかな?
でも全然年上に思えんなって、だんだん。
めっちゃ抜けてんねん。
衣装の真っ白いワンピース着たままカレーうどん食うたりすんねん。
飛び散るよ案の定。
マジックの蓋あかへんって、もうあいてるマジック握りながら言うてんの。
手ぇ真っ黒や。
楽屋も雑然としてんねん、整理せぇへんの。
そんでもニコニコ笑うてんの。どんだけ能天気やねん。
下心ありありで誘うた食事。カッコつけてちょっと高めのイタリアンレストラン。
1万8千円のワイン、これ経費ならへんわなって飲みながら、
いきなりガツンて先制パンチ。
「あんね、聞いてみたいんやけどね」って、延々続く彼氏の相談。
彼氏って。男持ちかーいて。そんな素振り全然やったやんって、
3千円のワインにしとったら良かったって、途端に渋く感じるワインのグラス越し、
相談と言う名のノロケを散々聞かされて。
「あースッキリしたー!今日は本当にありがとうねー」
ホロ酔い気分のあんた。
本当ならもう一軒バーにでも寄って、
あわよくば、って新しいパンツもはいとったけど、気分消沈。
拾ったタクシーにあんた乗せて、「ほなまた明後日スタジオでー」て、
俺めっちゃ紳士的やん。
どんな男なんやろって、写メ見してもらおーかとか、でもやっぱ惨めな気ぃして。
男おるんやったらしゃーないわ、他いこかって、
適当に声かけて声かけられて、そんな風にいこかって思うのに、
やっぱりあんたを、あんたばっかり追う俺の目、俺の心。


あんたのことばっか考える日が3ヶ月ほど続いて、
もういい加減やめとこかって、溜め息ついて切り替えようとした矢先、
スタジオの隅、携帯握り締めて俯いてるあんた。
メイク崩れんようにって、小指で小さく涙ぬぐうあんた。
何よ?どうしたん?何かあったん?何で泣いてんの?
今すぐ問いただしたい焦るみたいな俺の気配に、
振り向いて一瞬気まずそうな顔した後、いつもみたいにニコニコ笑って、
「泣いとったこと内緒ね」って、また泣きそうみたいに笑って。
何やこれ。
『胸が締め付けられる』ってこういうん?
誰やねん。あんた泣かしたん。なぁ。誰やねんホンマ。
俺やったら泣かさへんのに。あんたにそんな顔させへんのに。
もうやめとこ思うたのに、もっとでかなるあんたへの気持ち。
どうしたらええんこんなん。どうやって押さえ付けたらええん。
爆発しそうな何か。
そのカウントダウン始まったような寒い12月の夜、
歩道橋の上で偶然あんたと会って、びっくりーって笑とったあんたの顔、
俺の肩ごしに見た何かに、青褪めて息止めて。
見たことない男。名前も知らん男。
同じように見たことない名前も知らん女と腕組んであんたの横通り過ぎて。
「ふられたんやんかー」って、観念したみたいに、ぽつり。
でも視線はあの男を追いかけながら。
「他に好きな人出来てーって、ありきたりやろ?でも・・・見たなかったな・・・」
咄嗟に。
あんたの目を手で覆う。
前に収録中、あんたが好きや言うてくれた俺の手。
節が目立つ男らしいって言うてくれた手。
その手で、あんたの目を塞ぐ。
あんたから視界を奪う。
見たないもん、見んでえぇよって。俺が隠したるよって。
あんたの涙で濡れる俺の掌、空気で冷やされて痛むほど冷たくて。
男が見えなくなって、はずした俺の手、冷え切った俺の手に息吹きかけながら、
「ごめんね、ありがとう」ってあんた。
首振りながらさすってやったあんたの想像してたよりずっとずっと小さな肩に、
何でか泣きそうで、
「なぁ俺やったらアカン?」って、ドラマん中みたいなセリフ、
鼻水たらしながら何カッコつけよんの俺ってかカッコついてへんねんけど。
「・・・おばちゃんでもえぇの?」って、ホンマはおばちゃんなんか思ってへんくせに。
「あんたがえぇ」


やっすいホテル。
ホンマは最初は奮発してたっかいホテル行くつもりやったのに。
こんなやっすいホテル。
ケバケバしい装飾の天井、目がチカチカするような蛍光ピンクのシーツ。
寒いわけちゃうのに。暖房めっちゃきいとんのに。
中学生みたいに震える俺の手。
あんたを抱く俺の手。
その震える手をぎゅうって握り返してくれたあんたに、
「好きな女を抱く」ってこんなに嬉しいんやって、
二十歳過ぎて、その場繋ぎの付き合い繰り返すばっかりやった自分、
勿体無いことしてたわって、省みて。
「好きや」って。
「あんたが好きや」って、
嬉しいのと弱みに付け込んだみたいな罪悪感と気持ち良いのと、
色んなんごっちゃんなって、
ただひたすら「好きや」「好きや」「好きや」って。
俺のもんになってくれるん?
「今だけ」はイヤやの、いらんの。
これからも、ずっとあんたが見たないもん、俺の手で塞いでやれるように隣におりたいの。
白くて小さなあんたの手が、俺の鎖骨なぞって、
「ずっとおってよ」って。
「隣におってよ」って。
ごめんなカッコ悪うて。でも涙出んのよ仕方無いやろ。
「泣かんとってよー」って俺の背中さすってくれるあんたは、やっぱり年上やった。




楽しい。
人生が楽し過ぎてみんなごめんやで!
ヨコにもすばるにも、浮かれんなきしょいうざいって散々言われて、
でもしゃーないねんもん、浮き立ってまうの。
収録終わって今日はおでん食いに行こかーって、
モモコさんに教えてもうたおでん屋さんで二人で飲んで食べて、その帰り道。
いつ言おういつ言おう思うてて、あんたの名前。
「・・・け、・・・こ・・・」
「・・・?ん?何か言うた?」
「景子!・・・って、呼んでえぇ?」
ちょっとびっくりしたあと、ふふって笑うてあんた。
「いつ呼んでくれんねやろって思ってた」って。
「ズルイわ、そんなん」可愛い過ぎるやろ。
何が?ってセリフ、塞ぐみたいにキス。
さっき食ったおでんのからし味噌の味。
「おでんの味するー!」きゃっきゃ笑い合って。
繋ぐ手もくっつけるおでこも紡ぎ合う言葉も、
これから先も永遠に続くと思っとったのに--------








「それでは、これより新婦のお色直しのため〜」
6月の花嫁は幸せになれるんやったっけ?
真っ白なウェディングドレスの裾を抱えられながら、披露宴会場出て行くあんた。
ネクタイを少し緩めて、酔えはしないシャンパンを喉に流し込む。
『大丈夫』やない人に、『大丈夫』って言わせてもうた、俺のせい。
淡い黄色のドレスに着替えて入ってくるあんたの背中、
会場に合わせて拍手しながら、なぁ、俺の目は、誰が塞いでくれるん?
見たないもん、我慢して見てんの。誰か塞いでぇや、俺の目。
「キレイやなぁ・・・」
思わず洩れた呟きに、隣におった女のスタッフさんの同意が聞こえて。
ホンマ、キレイやなぁ。
あれ、ホンマは俺のやねんで。
今あいつに貸してやってるだけやの。
貸すだけやぞ触んなやコラ。
何でそいつ見て笑うてんの。
隣に俺おらんよ?こっち見ぃや。
なぁこっち見ろや。
こっち見て。
なぁ。
なぁ。
もう触るん出来んの?
なぁ、あんたが好き言うてた手ぇやでほら。
あんたを失う怖さに、失ってもうた怖さに震えとる手。
なぁ。
あん時みたいにぎゅうってしてぇや。
女々しい感情で、息苦しい。てか息したない。
はよ終わってよもう。
誰も塞いでくれん俺の目、俺を見んあんたの顔ばっか見てまう俺の目。
しゃーないから、自分で塞ぐ。
気分悪いフリしてシャンパンに酔ったフリして、会場抜け出して駆け込むトイレ。
立派なトイレやん、ここで暮らせるで俺。
個室に入って水流して、水の無駄遣いしてすまんって思いながら、
流れる水の音に紛れて、声を出して泣いた。
何回も、何回も、
俺どんだけでっかいクソした思われんねんって突っ込みながら、
それでも止まらない嗚咽誤魔化すために、流す水。
俺の気持ちも流してくれたらえぇのに。
苦しい。
ぺしゃって、誰かに踏み潰してもらいたいわ。
好きやの。
あんたが好きやの。
なぁ。
全部投げ出したら、捨てるん出来たら、俺んとこに戻ってくるん?
戻ってこんよ、分かっとんねん。
分かっとんの、分かっとるはずやの。
イヤやね、そんなん、分かってまう大人やのよ俺もう。
最後に一回って、水流して、便器の蓋閉じたまま、その上に座って。
トイレットペーパーで涙ぬぐって、息整えて。
顔洗っても、泣いたんバレてまうな。
感動して泣いてもうたって、嘘つかなアカン。
嘘。
嘘ばっかりやホンマに。


なぁ。
ええからな。
いつでも、ホンマにいつでも。
また俺の手が欲しなったら、塞いでくれる手が欲しなったら、
俺呼んでや。
すぐ行くであんたのとこに。
どこにおっても、何しとっても、例え塞いでやれる両手切り落とされとっても、
なぁ。
あんたが呼んでくれたら、飛んでいくわ。
あんたが笑うの見届けたら、すぐ消えるし。
なぁ。
やから。
俺の手。忘れんとって。
忘れんとってよ--------


end.


20090107.